夜が明け始めそれに追従するように、ヒトの生死を賭けた舞台は、幕を降ろす。
蛮族達は蜘蛛の子を散らすように、戦場から逃げ出している。
ソコには、勝者と敗者、生者と死者しか存在しなかった。
「……ランスさんは、城を墜としたようだな?」
ブレイドは城に掲げられた鬼鴉の旗に視線を送りながら、確認するように声を発する。
「無人の城を落とすのに手間取られても、困りますがね……」
肩に棍を担ぐと、身体をほぐしながら紅拳はぶっきらぼうに呟いた。
「……まぁな」
ブレイドは微妙な表情を浮かべ言葉を返し、蛮族の死体から衣服を剥ぎ取り、剣を拭う。
いかにも戦慣れした不遜な行為であるが、死者に口無しというように文句を言うワケでもない。
最前線で、もっとも苛酷な戦いを繰り広げたのだから、いくら上の人間とはいえ、ソレなりの仕事をしてもらわなければ、役にも立たなかった。
