『メキョ』 紅拳の棍が蛮族の兵士の頭部を貫き、脳髄を後方へと飛ばす。 その、流れるような動きは、凄惨な殺し合いの中でも異端を放っていた。 戦場を、まるで庭を散歩するかのような歩調は、殺気立つ蛮族達との間にズレを産む。 紅拳が自分の手足の如く棍を振るうと、軽く接触しただけで、剛力で弾かれたかのように骨は砕かれ、内臓は潰れ、頭部が割れ、絶命させる。 累々たる屍の上、紅拳は歩調を乱す事なく闘華の後方を護っていた。