鬼 鴉【総集編】



「一気に、ぶつける事が出来ればネ……」


紅拳はランスを軽く睨みながら牽制し、ティグに視線を送りつつ、さらに口を開く。


「ウチの輸送船は2隻。1隻に積み込んだとしても400人程度、兵の数は1200人……」


まるで逆算するかのように、人員数を声に出していく紅拳はその場にいる全員を見渡す。


「1隻が一往復している間に、蛮族共に付け入る隙を与え、尚且つ速攻の時間を潰してオツリがもらえる程の間抜けぶり、だと言えるワ……」


紅拳の過激な言葉に反応するように、ランスの顔が激変した。


「!?……何ィっ!!」


ランスは声を荒げ、紅拳を睨み付ける。


手痛いしっぺ返し所ではなく、根本からの否定にも近い。

机上の空論ではあるが、ランスの戦術は明らかに前回の戦いを考慮しておらず、単純に兵士の能力差で勝敗を決しようとしている。

その部分を紅拳に突かれたダケなのだから、感情を起伏させるのは愚かな行為に等しかった。