「コホンッ、彼女の名は紅拳。大陸出身の拳法家で、鬼鴉の客分です」 ロインは、一つ咳ばらいをして会話を仕切り直すと、紅拳の素姓を闘華へ説明する。 「……拳法家……」 闘華は我に返ると、紅拳と視線を合わせ呟く。 「……?」 紅拳は闘華の瞳が一瞬だけ懐かしむように変わった事に気付き、首を傾げる。 なんとも形容しがたい間に、全員の動きが固まっていた。