「……ゆっくり、養生して下さい」 ロインは、黒鬼に優しく呟き掛ける。 「……」 黒鬼は、無言で頷いた。 ロインは闘華の方へ向きを返ると、さらに口を開く。 「彼は鬼人様の親衛隊、隊長です。……鬼人様と一緒に、唯一日本へ渡った人ですよ」 「……」 ロインの言葉に、闘華は沈黙する。 (……つまり、闘兵衛と戦ったという事か……) 闘華は値踏みするように黒鬼を見ていたが、不意にもう一つの気配に気付いた。