二隻の小船が、島の湾岸部分に着岸している。



「キビト殿」


一人の女が、歩きながら口を開く。

腰まである白髪を揺らしながら、暗褐色の肌を白色の水着で包み、惜し気もなくその肢体を晒している。

さらに、その整った顔立ちを際立たせるように、紅い瞳が輝いていた。



「……ジェノス船長」


鬼人、と呼ばれた男は、その女の言葉に反応し、女の名を呟く。


東洋、アジア系の外観を持つ鬼人は、精悍な顔立ちをしている。

強靭な意志を宿す眼、高い鼻、真一文字に閉じられた口が芯のある性格を表していた。