――後日、貧乏長屋――
「それで?」
桃太郎は冷静な表情で、紙洲に問い掛けていた。
「賊供は三人中、二人を捕縛。主犯格の、男は、……死亡」
紙洲は淡々と、それでいて、自分を納得させるように続ける。
「表向きは、反抗した為やむを得ずって事になっているが……」
「首の骨が、折れていたらしいな?」
紙洲の言葉を遮り、その結末を、桃太郎が先に口にする。
「検分方の役人が、驚いていたゼ?……居合の使い手が刀傷もなく殺られて、しかも、殺った奴がナニも持たない、単なる若造だからナ」
桃太郎の妨害を気にする事なく、紙洲は全てに対する説明を行いきった。
少しだけ小首を傾げて、新たに生まれ落ちた疑問に対し、桃太郎はさらに質問をする。
「で、その化け物は?」
「……約束を、果たしにきた」
桃太郎の質問に、突然、後方から狙ったかのように、闘兵衛が声を掛けていた。
