「……復讐、か?」 「ソレが無いと言えば、嘘になりますが……」 改めて問い直した闘兵衛は、真剣な表情を浮かべている。 大太刀を肩に担ぎ、間合いを詰めてくる皐月は、無表情のまま返答した。 怨恨では、ないのかもしれない。 皐月の放つ気配が恨みや憎しみとも違う、複雑な感情の色を匂わせていたからだ。 「いいだろう……。相手になってやる」 闘兵衛はそう吐き捨てると、両拳を眼前に構え、少し腰を落とし、皐月との距離を縮めていく。 互いの間合いが触れ合う瞬間、砂埃が舞うのであった。