桃華は静かに、鬼人を睨み付ける。
「……礼儀、だよ」
鬼人はその視線を受け流し、ボソリと呟く。
「礼儀?」
間髪入れず、鬼人のその言葉に桃華は問い返していた。
「あぁ、礼儀だ。私は、師匠越えを果たす為に、立ち会った。……あの腕は、その証だよ」
「それだけの為にっ!?……っそれだけの為に、爺を襲いっ!私をっ!!一体ナニを考えているのですかっ!兄上っ!?」
桃華は間を空けず、鬼人の説明に対し、悲鳴のような叫び声を上げる。
「ソレが目的ではない。本来の目的は、人を迎えに来たんだ……」
「人?」
淡々と真の目的を口にする鬼人に、激昂していた桃華は肩透かしを喰らったかのように、問い返すのであった。
