――海上――



――ジェノスの黒船――



海賊船の船内。


食堂に設けられた長方形のテーブルには、怱々たる鬼鴉の面子が揃っていた。



テーブルは7人席であり鬼人を上座に、ランス、ブレイド、紅拳。

対面の席には、ロイン、ジェノス、そして空席がある。



「諸君……、長旅ご苦労だった」


鬼人は開口一番に、ねぎらいの言葉を発すると、ジェノス以外の全員がそれに合わせ頭を下げる。


明らかに、鬼人の存在が全員を統率する者である事を証明していた。



「ジェノス船長、貴女にもご足労懸けましたね?協力、感謝いたします。助かりました」


鬼人はさらにジェノスに声を掛け、頭を下げる。


ジェノスは微笑みを浮かべ、軽く会釈を返す。


雇い主でもある客、鬼人に礼を尽くす。ジェノスの接客術は、些細な愛想すら忘れていなかった。