鬼 鴉【総集編】



「……っ!!?」



寸勁の不発に対し、紅拳は驚く。


危険に対する、察知能力が高い。


初見で技を避ける事は勘が鋭いのだろうが、ソレでも異常な程であった。


闘兵衛は、人智を上回る速度で後ろに回避し、技を逃れる。


ソレだけではなく、回避と同等の速度で紅拳との距離を詰め、右中段廻し蹴りを放っていた。



『パァンッ』



乾いた破裂音が、響く。


紅拳は人間一人程の距離を、後方へと舞うように跳び、静かに着地する。


柳に、雪折れ無し。と、いう言葉があるように、闘兵衛の蹴りの威力を逆らわず吸収するようにして、紅拳は受け流す。




「……鬼人殿、ココは、私が引き受けます」


何事もなかったように、紅拳は鬼人へと声を掛けるのだった。