「……ギリギリまで着けるよっ!!帆を降ろし、人力に変えなっ!!」
ジェノスが声と手振りで命令を出すと、甲盤の上を船員が慌ただしく走っていく。
海上、鬼人の視界に入った黒船である。
ジェノスの海賊船。
月明かりの元、ジェノスの白髪が光りを反射し、よく映える。
その指示は的確であり、徐々にではあるが確実に港に近寄っていく。
「……ボスは、来てんのかよ?」
甲盤の上、港を遠目で眺めるブレイドが、誰に言う訳でも無く口を開いていた。
「……時間通り、です。ココまで見事だと、少し怖いですね?あの船長」
ロインは忙しく指示を出すジェノスを見て、半分感心半分畏怖しながら、呟く。
「でなければ、鬼人殿が選ばないでしょう?」
紅拳が鬼人の選定眼を認めるように、説明する。
ロインはさも当然とばかりに頷くと、港に視線を向けるのであった。
