(熊とヤった時の方が、幾分マシだな……) 闘兵衛は山にいた頃に戦った事のある、獣の事を思い出していた。 (熊以上だ、な) 距離をとり、当てては避ける攻撃を行っているのだが、黒鬼の頑丈さには舌を巻くばかりである。 速さでは闘兵衛に分があるのだろうが、決定打に欠けた。 じり貧とまではいわないが、破壊力のある黒鬼の一撃だけで、戦局をひっくり返されかねない。 『ドウッドウッ』 闘兵衛は、掴もうとする黒鬼の両腕をかい潜り、左脇に右拳と左拳の連打を撃ち込むが、やはり、効果がなかった。