闘兵衛は大地を跳ね宙に浮くと、左右の脚を使った二段蹴りを放つ。 その蹴りの軌道は、黒鬼の腹部と頭部であった。 『ゴッゴッ』 鈍い音が、響き渡る。 闘兵衛の蹴りは両脚ともに、黒鬼の丸太のような両腕によって、防がれていた。 そして、何ら効果を与えてはいない。 「……フン」 黒鬼は何事も無かったように、鼻を鳴らす。 「邪魔な腕だナ……」 その頑強さに闘兵衛は文句を漏らしながら、殺意を高めていくのだった。