「……やはり、貴方だけか?」
紙洲は冷酷な表情を浮かべ、木林に話し掛ける。
「そんな事、言わないでよぉ」
木林は、さらに情けない声を出し反論する。
紙洲はそんな木林を無視し、現在自分らが身を潜めている、巨大な樹木の向こうの集団に、視線を送っていた。
そこには、三人組の男が立っている。
「……四対三、だ」
紙洲は三人組の男たちを素早く確認すると、声を抑え今現在の状況を説明した。
おそらく、その三人組が鬼鴉の一味という事なのだろう。
「さっさと決めるゾ」
紙洲は全員に聞こえるように、早口で促す。
桃太郎は軽く頷き、木林は青ざめ、闘兵衛は無言で三人組を眺める。
風が荒れ、木々の枝を揺らす。
今から、この場が修羅場に陥る事は間違いない。ソレを感じ取ったのだろうか、空気がザワ付き始めるのであった。
