辺りが薄暗くなり、太陽が完璧に海に沈む。 不意に、妖気と共に桃華の正面に人影が現れる。 「……誰だ?」 桃華は人影に対し身構えながら、声を掛けた。 「……」 人影は声を発っさない。 徐々に暗闇に目が慣れてくると、その人影の風貌が見えてくる。 「……っ!?」 桃華は、息を呑む。 奇妙な人影は鬼の面に、長い外套を羽織り、その左手には布で包まれた物が握られている。 「私は、犬飼 桃太郎 。……我が屋敷を襲撃したのは、貴様だな?」 桃華は男名を名乗ると、鬼面の人物に向き直っていた。