「俺は、俺として……、お前と闘うっ!!」 そう叫んだ闘兵衛は、大地を踏み締め構え直す。 そこには、人間としての意志がハッキリと見て取れた。 「闘兵衛……」 紅拳は畏敬の念を持ち得て、闘兵衛の名を呟く。 己自身が武を極めた者として、暴力に敗れた。 ヒトの知識より、本能が勝ったのだと、感じていた。 その究極の位置に存在する鴉に、人間として挑むというのであろう。 だからこそ、紅拳は畏敬の念を闘兵衛に感じたのであった。