ヒトにとって、行き着く先がソレであるならば、武とは相反する。


究極の強さが、理性を棄てた本能のみの獰猛さでは、単なる獣と代わらないだろう。



戈を止めてこそ、武―




人間として、この闘いを見届ける事が、武道家の目的であると紅拳は思っている。


だからこそ、観に来たのだ。


ヒトの本質が、この闘いの結末に現れる。


強さを求める人間の未来が、わかるハズ―



紅拳は恐怖に青ざめながらも、見届ける者として表情を引き締め、2匹の兇獣の全てを見逃さないように、視線を送るのであった。