(闘兵衛っ……!!)



ズキン、と疼く右眼を押さえ、紅拳はその傷を付けたかつての敵を睨み据える。


未だに、傷は癒えない。


外観の傷ではなく、心に抱いた疵―


闘兵衛と相対した事により産まれた恐怖は、紅拳の心に深く爪痕を残していた。


ヒトの備える感情が、どれほど邪悪なモノなのかは、わからない。


ただ、嗤いながら殺意だけを増幅させていく2人に対し、紅拳は武に関わる人間として嫌悪感を抱くのであった。