そのランスの脇に、一人の女性が立っている。 「ロイン殿……」 ジェノスは女性、ロインの存在を認めると、片手を上げ船員たちの緊張感を解く仕種をとった。 まるで、芸術家が描いた美人画から抜き出してきたような美貌の、持ち主である。 透き通るような白い肌、青い瞳、無駄な贅肉のついてない肢体を黒い正装で包みこんでいる。 金細工のように、繊細な金髪は短めに切り揃えられているが、ロインの美しさを損なうモノではなかった。