「銃佐……、殿?」



見知った人影に、皐月がぼそりと呟く。


確かに銃佐ェ門であったのだが、桃華の目には、別の人物が映っていた。


「……っ!?」


あまりの予想外な事に、桃華は言葉が出せない。



「……闘兵衛殿っ!?」



桃華の言葉を代弁するように、皐月が口を開く。


大樹にもたれ掛かるように立つ銃佐ェ門の傍に、若者の姿がある。


外套を羽織り、自然体で静かに立っている若者こそ、闘兵衛であった。