「あの人には……、静かに山で暮らす人生があったと思うのですが……」



墓まで続く山道、沈黙に思う所があったのだろうか、皐月が口を開く。


「そうですね……。でもそれは、誰にでも言える事でしょう?」


相槌を打つように桃華は呟きながらも、皐月に問い返す。



「後悔するのではなく、今を生きる事こそが大切なのだと、私は思いますね……」



皐月の言葉に桃華は、首を左右に小さく振りながら答えていた。