「……アレなら、お侍に太刀を向けられた方が、まだマシですね?」 「……」 その言葉に、紙洲は沈黙してしまう。 たかだか、一度の対峙だけでそこまで言わしめる男など、そうはいない。 ますます、不可解な人物であった。 「っ!?」 頭の引き出しから記憶をまさぐる紙洲は、その脳裏にある人物を思い浮かべる。 関わったのは、ほんの数ヶ月だったのだが、コレほど印象の深い人物もいなかった。