「わかりません。ただ、以前、紙洲親分に世話になった者、だ。と、言っていましたが……?」 おそらく、見当もつかないのであろう。 手下の目明かしは、紙洲に伺うように、尋ね返していた。 「世話……?」 紙洲はその言葉に、さらに首を傾げる。 世話をした者など、身に覚えがありすぎ、まったく予想もつかなかったからだ。