紙洲の視界に入った異常とは、追い掛けていた盗っ人が地面に倒れているという、状態― ソレを、手下の目明かしが呆然と眺めているという、極めて不思議な状態でもあった。 「……ナニがあった?」 紙洲は簡潔に、事の状況を探ろうとする。 「ハァ……。2人連れの男の片割れが、コイツに蹴りをくれていって、このザマです」 手下の目明かしは、気を失って地面にノびている盗っ人を指差し、淡々と説明した。