「……この前は忙しく、銃佐殿に会えませんでしたが、ナニか言っていましたか?」



桃華は、前方を歩く皐月に声を掛ける。


二ヶ月程前、日本に帰って来ていた銃佐ェ門に、桃華は諸事情があり、会えなかったのだ。


「そうですね、相変わらずでしたが……?でも、面白い噂を聞いたと、そんな事を言って、すぐに旅立ちましたね」


皐月は一瞬言葉に悩んだのだが、包み隠さず返答していた。


銃佐ェ門のいつもの決め台詞、である。


桃華を落胆させない為、銃佐ェ門は毎回その言葉を残し、旅立っていた。