鴉の捨て身による渾身の一撃に、闘兵衛の防御は間に合わない。 防げず、避け損ねた突きは、すんなりと闘兵衛の左の脇腹から背中に貫き出ていた。 水平に突き立てられた、太刀― 鴉は握り締めるその太刀を捻るだけで、闘兵衛の内臓を傷つけ死にいたらしめる事が出来た。 ソレこそが、鴉にとって切望の瞬間― 死こそが、唯一死神を満足させるモノである。 その一撃こそが、戦いに終止符をつけるモノでもあった。