「桃太郎がココを旅立ったのは、ニ日前だ……。間に合うのか?」


「俺の足なら、長崎まで三日程度だ。じゃあ、行くゼ」


紙洲との会話を打ち切ると、闘兵衛は疾風のように林の中に消える。



紙洲は屋外に出て玄関を閉めると、編笠を被り下山の準備を始めた。


風雲吹き荒れる長崎の地を目指し、一本の矢が、解き放たれる。


待ち受けるモノは蛇か鬼か、混沌に満ちたその先を闘兵衛が知る由もなかった。