これほどの好機を、鴉が見逃すとは思えない。 思案に耽る桃華の後方より、闘兵衛が近寄っていく。 さらにその後には、痛みか出血の為か気を失った皐月を背負う、銃佐ェ門の姿があった。 「……桃華、銃佐と共に行ってくれないか?」 闘兵衛は桃華の横まで歩を進めると、鴉を睨みつけながら声を掛ける。 「私も、戦います」 太刀を構えたまま、鴉から視線を外さずに桃華は答えた。