技を潰されたのは一瞬であったが、鬼人の硬直した隙を、闘兵衛が見逃すハズはない。 ぞくりっ― 鬼人の背筋に冷たいモノが流れ、得も知れぬ恐怖が支配する。 真下から迫る殺意は、あからさまに人を殺傷できる威力を持っていた。 変形右後ろ廻し蹴り― 闘兵衛はその場で半回転し、捩れの勢いを上半身から下半身に連結させた蹴り脚は、鬼人の下方から跳ね上がるように差し迫っていく。 死を匂わせるその技は、確実に鬼人の顎を捉えていたのだった。