皐月と同時に黒鬼の右側面より距離を詰めていた闘兵衛は、無防備となっている黒鬼の右腕に関節技を仕掛ける。 ただ、闘兵衛は、前回の黒鬼との闘いの時に仕掛けた関節技を、その怪力によって防がれていた。 だからこそ、闘兵衛は人体の末端を狙う。 筋肉の影響を、鍛え難い手首を捩るように折る。 闘兵衛は刹那の接触で、黒鬼の右手首を脱臼させたのであった。 黒鬼に痛覚があれば、あるいは反応できたのかもしれない。 今は、外された右手首を眺める事しか黒鬼には、残されていなかった。