「……」


首筋から血を噴き出しながら、ロインは無言のまま笑みを浮かべ、ゆっくりと倒れ伏す。


まるで、その死が満足であるかのような、笑みであった。


手応えの残る腕に、血の付着する太刀―


桃華は眼を綴じ、太刀の血を振り払うと、鞘に納める。

そのまま向きを変え、血の池を作るロインの骸まで歩を進めていく。


しっかりとした足取りではあったが、かすかに震える手は隠しようもなかった。