玉座の間―



その名に相応しい部屋の造りには、王の姿は存在していない。


ただ一匹の黒色の獣が、その牙を剥き出しにしていた。



「黒鬼……」



黒き獣を視界に捉らえた闘兵衛は、ボソリとその名を呟く。



「「っ!!?」」



異様な姿、異常な殺気に銃佐ェ門を始め黒鬼を見知っている皐月でさえ、その迫力と恐怖に絶句していた。