鬼人はやはり無言のまま皐月を直視しており、次の言動を待っているようだった。
「……この地の鬼鴉は、平穏に相応しくない為、私が、全て斬りました」
皐月の言葉が終わると同時に、周辺の空気が変化する。
「……っ!?」
皐月は大太刀の柄に手を掛けると、空気の変化、自分に向けられた殺意に構えた。
その殺意は鬼人から放たれたモノでは、ない。
周りの暗闇の中に、突然餓えた猛獣が現れたかのような存在感があった。
「……黒鬼、よせ」
一触即発を思わせる状況ではあったが、鬼人はそのままの態勢で暗闇に向かい、声を掛ける。
すると、水泡のように周りに充満していた殺気が消えたのであった。
