特に闘兵衛がロインに、ナニかをしたワケでは、ない。


ただ、真っ直ぐに扉を見据えていたダケ―


ロインすら、眼中に入っていなかった。


通り抜け際に一瞥しただけであったが、闘兵衛の存在感に恐怖を抱く。



「アレがトウベェ……、か……?」


直感―


ロインは見た事のない名も知らぬ男性の名前を、呟く。


黒鬼や紅拳と同類、それほどの存在感であったからだ。