月明かりの無い、闇夜。



一本の大樹の傍に、一人の男が立っている。

その男、脚まである外套で姿を隠し、さらに頭部を鬼の面で覆っていた。

不気味さが漂うといっても、過言ではない。




「鬼人様、ですね?」


暗闇の中から、その鬼面の男に声を掛けた人物がいる。

声質は年若く、少年とも少女ともとれる中性的な響きがあった。


その人物は分厚い大太刀を背負った女性であり、鬼面の男と同じように頭部を布で覆い隠し、忍装束に身を包んでいる。

ただ、胸の膨らみと腰の括れが女性特有の雰囲気を、醸し出しているのであった。