「……そ、そいつらは、何処にいる?」
闘兵衛は嘔吐するかのように、言葉を吐き出す。
たった一瞬で、その場を凍りつかせる程の殺気を放出していた。
「……どうする気だ?」
紙洲は表情を変えずに、平静を保たせ闘兵衛へと問い掛ける。
「聞きたい事が、ある」
闘兵衛は拳を握り締め、ソレと同じように、自分の放つ殺気を抑え込み、紙洲の質問に答えるのだった。
「続き……、があるんだが……」
紙洲は頭をひと掻きすると、複雑な表情を作り、申し訳なさそうに語り始める。
「賊は、三人組。役人が追い詰めた。その内の、二人は大した事無かったんだが、厄介なヤロウが一人いてな?居合術の使い手で同心が二人、一瞬で斬られちまった……」
紙洲の話しを無表情で聞き終え、闘兵衛は一言だけ尋ねていた。
「逃げられたのか?」
紙洲は片手をヒラヒラと左右に振り、その質問に答える。
「アッサリと、ナ」
「……邪魔したな」
闘兵衛は紙洲の答えを聞くなり、外套をひるがえし外に出ようとした。
