――山中―― 鬱蒼とした山林を抜けると、木々の間に少し広がった草原へと出る。 その草原には、人の頭より少し大きな石が二つ、置かれていた。 石の周りは明らかに人の手によって、綺麗に整地されている。 整地した人物、闘兵衛が姿を現わしていた。 (……俺には、こんな事しか出来ないが……) 山で摘んだ野花を携え、闘兵衛は静かに二つの石を見下ろし、哀しげな顔で思いを巡らす。 ソレは、闘兵衛の父親と姉の墓であった。