「「……これほど太刀を交えたのは、久しい。主らなら、我に戦場を与えてくれそうだ……」と、言っていた」
そこで区切りをつけて、黒鬼は沈黙する。
「確か……、鬼には死神が憑く。と言う噂を聞いた事があったが……」
少し聞いた事があったのだろう、紅拳は搾り出すように呟く。
「まさかウチの事だったとは、思いもしなかったよ?」
半ば呆れ気味に紅拳は声を発し、肩を落とす。
「戦場を、与える。その絶対条件が、我々と死神との契約。おいそれと、個人の為に使うべきでは無い……」
黒鬼は、それだけ述べると扉に向けて、歩を進め始めた。
