「貴方は、貴方のままで闘いなさい。小手先の技などに頼らず、戦士として挑めばイイでしょう」


紅拳は静かに眼を綴じ、悟らせるようにして語り掛ける。


「私は、ソレこそが貴方の持つ最大の武器だと、思います……」


黒鬼を戦士として認めた上で、紅拳はそう評価していた。



「そう、か……」



観念したかのように黒鬼は呟くと、紅拳に背を向け扉の方向へ歩き出す。


黒鬼なりに答えを見出だしたのか、何事もなかったように扉に向かう。


その後ろ姿こそ、黒鬼の覚悟を表しているのであった。