「……で、黒鬼殿は私に何のようですかな?」 紅拳は表情を引き締め、世間話しを一蹴するかのように、声を掛ける。 「今、鬼鴉は非常に危うい立場にある。俺でも、貴女でも、勝てない敵が存在しているからな?」 「フム……」 唐突に語り出した黒鬼に対し、紅拳は相槌を打つように頷く。 「……貴女の拳法を、俺に教授して欲しい」 「クスッ」 黒鬼からもたらされた願い出を、紅拳は失笑と共に払拭した。