「味方同士で争うなど、愚の骨頂……。鬼鴉も堕ちるとこまで堕ちましたねぇ?」 全てを知っているかのように、紅拳は含みのある言葉を口にする。 「コウケン殿……、鬼鴉に戻って来られるつもりは、ないのですか?」 黒鬼は真剣な表情を作ると威圧的では無く、理知的に礼儀を持って紅拳に尋ねてみる。 「片目を失った武道家などに、価値はない……。私は役に立たない、よ」 右眼に着けられた眼帯を指で小突きながら、紅拳は淡々と返答するのだった。