「ナニよう、ですかな?黒鬼殿……」 不意に、黒鬼に声を掛ける女性の声が響く。 黒鬼は特に驚くワケでもなく、その声のする方角へと振り向く。 黒鬼の視線に入った女性は、赤い武道着に紅い棍を携えていた。 長い黒髪を頭の頂上でまとめ東洋人的な顔の造形は、小顔で不思議な印象すら持たせる。 ただ、右眼には眼帯を着けており、身に纏うその空気は妖しい雰囲気すら漂わせていた。