「……っ!」 もう一度だけ宿を見上げた桃華は、歯を食いしばり、切なげな表情を浮かべる。 宿に向かい頭を深く下げると、背中を向け歩き出す。 一歩一歩、確実に大地を踏み締める桃華は、二度と後ろへと振り返る事はなかった。