桃華は、自分の胸から腹にかけて指で触れる。


昨夜の温もりは、夢ではない。

はっきりと、肌で感じた闘兵衛の体温は、桃華の芯に今も残っている。


重なって、確かめ合ったその感情は桃華を優しく後押しし、勇気を奮い立たせてくれた。



兄を、斬る。



血を分けた者同士の争いほど、醜いモノはない。


悪行ともいえる行為に、桃華は顔をしかめた。