早朝―



朝日も昇りきらぬ港街の宿の前に、1人の女性が立っている。


桃華、であった。


鎖帷子に太刀と脇差しを携え、旅支度を整えた姿で宿を見上げている。


桃華は、ある決意の元、旅立とうとしていた。