誘い、である。 ランスは、わざとソコを突かせたのだった。 大剣で顔の右半分だけを隠し、残りの半分を突くしかできないよう、隙を作る。 肉を斬らせて骨を断つ。 鬼人に聞いた東洋の格言だが、自分で実践するとは思ってもいなかった。 狙われている箇所が点であるのならば、避けるのはたやすい。 熱い痛みがランスの顔面を走り抜け、意識を遮断しようとするが、激昂した感情は、殺意の衝動を引き起こすのだった。