――ドクンッ――
闘兵衛の、心臓の鼓動が高まる。
姉が土間に倒れていた。
慌てて闘兵衛は駆け寄ると、姉は包丁で自分の腹部を刺している。
闘兵衛は姉を抱えようと肩に腕を廻し、力無く崩れた身体を持ち上げようとした。
『ズルッ』
姉の頭部が、有り得ない角度まで曲がる。
喉元が、頚骨までもが、切断されており、少しの肉と皮だけを残しているのみで、あった。
闘兵衛はココでもう一つの、出来事に気付く。
「……親父っ!!?」
居間に、闘兵衛は自分の父親を見つける。
しかし、そこには違和感があった。
頭部が、無い。
不自然に部品を喪失した人体。
あまりの出来事にア然とする闘兵衛であったが、奥の壁に、大きく印が描かれている事に気付く。
無理矢理に、描いたのであろう。その印は粗雑に出来上がっている。
そして、床にはその印を描く為に使われたと思われる父親の頭部が、転がっているのであった。
