城内を歩くランスの眼前に、人影が映る。 「ロイン……」 人影を、自分が見知った人物である事と視認したランスは、その女性の名を呟いた。 「……お待ちしておりました。ランス殿」 女性、ロインはうやうやしくかしこまると、招待していた客でも待っていたかのように、奥へと促す。 見知らぬ仲でもないのだが、久しぶりに会ったという感情はなかった。