港街の宿屋― 港から少し離れた場所に位置するその宿は、値段のワリに上質な造りであり、海を見渡せるような建造物であった。 『チィィンッ』 宿内の部屋にて、鞘から太刀を半分程抜き、桃華は白刃に自分の顔を映し出す。 刃に、己に、問う。 鬼鴉の事― 鬼人の事― そして、闘兵衛の事― 闘兵衛と対峙した時に、本気で殺そうと思った事を、後悔していた。